FREEDOM Projectの発動に伴いCMを含め様々な媒体に向けて発信されOVAも「FREEDOM 4」(第4巻目)がリリースされています。(2007年8月段階) OVAは25分という短い尺の中で躍動感のあるキャラクター達により、見る人を惹きつける作品となっています。まず、この壮大なプロジェクトの発足時の状況をお聞きしました。 森田監督:主人公 タケルのデザインや企画を初めて見たのは、2006年の1月くらいだったと思います。最初に感じたのはタケルのかっこよさと世界観の壮大なスケールですね。アポロジャケットを着て、元気なカッコいい少年のキャラがすぐに思い浮かびました。 企画で設定されていた世界観もかなりのスケールでしたので、キャラクター性に重点を置きつつ“15歳の少年が体験する夏休みの冒険談”を主軸としたストーリ展開にしました。ストーリコンセプトとしては、主人公タケルを含め4人の少年が自分達の気持ちをぶつけ合いながらも少年の目から世界を見たときの葛藤や感情を描くことにしました。また、見ている人にとっては自分の思い出と重なるような“予想した通り”という気持ち良さと、良い意味での“予想を裏切られた”という気持ち良さの両面を織り交ぜているストーリ構成となっています。
高山氏:私は制作デスクとしてスケジュールやスタッフィングを担当していますがCMとOVAは同時にスタートしました。そのため、CMの第1弾を2-3ヶ月くらいで完成させ「FREEDOM 1」のストーリを練り込み、2006年11月27日に発売というタイトなスケジュールでした。このスケジュールに対応でき、かつ森田監督のイメージをスタッフ全員が共有するため、制作を進める環境を自分たちで作り上げたいと思い提案した所、承認を頂くことができました。そのため、今制作に携わっているスタッフは「FREDOM」を作るという1つの目的の下に集まっていますので、すごくまとまりがいいんです。 森田監督:映像制作手法は、様々な形があります。私もいろんな形で制作プロジェクトに参加してきましたが、既存の形があるところに新しい形を持ち込むと、なじむまでに時間がかかる事があります。最初から制作チームを作ることで、新しい制作手法を色々チャレンジする環境を整えることができたという点には感謝しています。
アニメ制作ではクオリティを上げ、表現力を高めるためには何度もトライ&エラーが必要になります。これは、アニメという絵を動かすことで表現されるコンテンツの特徴ともいえますが、それは同時に絵を動かしてみるためにはハードウェアの環境が整っていなくてはなりません。この環境が整備されていなければクリエータにストレスが溜まり制作モチベーションを維持するのが難しくなります。サンライズ・エモーションスタジオではハイスペックなHP Workstationを制作マシンとすることでクリエータの制作環境を整え、さらにレンダーファームを構築することでレンダリングのクオリティと効率を高めています。 柴田氏:私はシステムエンジニアとして参画していますが、現在FREEDOMの制作クライアントで使用しているワークステーションは全部で30台、そのうち26台がHP Workstationです。また、レンダーファーム用として使用している14台は全てHP Workstationになります。 柴田氏:制作用ワークステーションは、人員増加に伴い導入していきます。約2年前から本格的にHPのワークステーションを採用していますが、大きなトラブルはほとんど無く社内での評判も大変良いです。また、レンダーファームも現場の状況を見ながら逐次増設しています。2007年7月に「FREEDOM 4」のDVDが発売となりましたが、この制作では今まで以上にスケジュールが厳しかったのですが急きょレンダーファームに6台HPワークステーションを追加することで状況を乗り切るのに一役立てることができました。導入すると目に見えて恩恵があるので、増やしてくださいというリクエストが多いです。
柴田氏:通常追加導入して即フル稼働といった状況では心配事も多いものですが、特にそういったこともなくHP製品の安定性に対するイメージはこの2年間で実感に変わりました。10年位前にHPのUNIX製品を使って製造系の仕事をしていて、この時からHP製品とはお付き合いがあります。当時のHPブランドイメージは車でたとえると “メルセデス”です。すごく高級感があって羨望のマシンでした。このブランドイメージは繰り返しになりますが、信頼性に通じています。現在社内インフラのメンテナンスはエモーションスタジオだけでなく、他のスタジオも管理しているので、同時にトラブルが起きてしまうと手が回らなくなりがちですが、おかげさまで今までそのような事態に陥ることなく運用を続けることができています。クリエイティブな制作用としてスピードがあるというメリットも重要ですが、システム・インフラの視点でも安定性が高いHP Workstationは非常に安心して採用できるマシンといえます。
FREEDOMでは、キャラクターの日常会話からストーリが生まれてきます。自分が15歳の時の想い出と重なるような何気ない会話や、どこかで見たような友人の表情、そして周りの雰囲気に思わず惹き込まれてしまいます。FREEDOMではキャラクターの90%が3Dでつくられていますが、キャラクターが自然な表情をかもし出しているため3DCGであるとか2Dかなと感じることはありません。森田監督はこの「FREEDOM」において新しい制作手法にチャレンジしたと語ってくれました。 森田監督:見ている人が面白いと感じるためには、登場するキャラクターが魅力的である必要があります。その魅力はどこから感じてもらえるか、といえばそれは“表情”です。この表情からストーリを感じてもらうために、日常会話のシーンで見せるうつむいた表情や会話の取り違えで、勘違いしてしまうとか、普通に友人と会話していると起きるであろうシーンを描いています。ストーリは会話から生まれて来る方が自然だし、キャラクターの魅力を一層引き出すことができるのです。そしてそのためには、基本的な事ですがアニメは絵を動かすことで見せるコンテンツであるという点を重要視しています。 高山氏:制作スタッフも絵を動かして表現をする、ということに喜びを持ってくれる人が集まっていますので、全員がこのコンセプトを理解してくれています。「FREEDOM」では世界観設定も1話ごとにデザインしていきますので、このしっかりとした世界観から日常会話が生まれるため、自然と「FREEDOM」の世界に入ってもらえる構成になっています 森田監督:「FREEDOM」は3D CGを全面的に導入していますが、作りたいのは“アニメ”であり、いままで見慣れている“日本的アニメ”にこだわっています。ただ、アニメの作画になると100〜200人の規模になってしまうこともあり、クオリティを統一するのが大変なんです。また、今毎週80本くらいアニメが地上波で放映されている現状をみても(2007年 8月段階)作画スタッフさんも手一杯な状況でしょう。その点3DCGであれば少人数で制作ができ、皆でコミュニケーションをとりながら作り上げていけます。実際FREEDOMのアニメータは12名、モデラー 3名、レンダリング、コンポジティング 6名で3Dを制作しています。「FREEDOM1」からこのワークフローで制作を行っていますが、リリース毎に完成度が上がっていますので、今後このような制作ワークフローは一般的になっていくと思いますね。
FREEDOMは、森田監督のコンセプト通り3D CGであることを全く意識させることなく、自然と見入っていってしまいます。キャラクターの魅力を中心に描くという森田監督をはじめFREEDOM制作チームの想いがFREEDOMには余すところなく現れています。3D CGの違和感をなくすため、シェーダには頼らず素材を別々に出力して合成するという時間も手間もかかる技法をあえて採用している点にも森田監督この作品へのこだわりを見ることができます。この技法は“表現者”としてアニメ制作を行う森田監督の強い想いから生まれ、その想いに応えるスタッフ全員の情熱が一丸となり実現されました。 スタッフの情熱とHP Workstationの優れた性能と高い信頼性が監督の想いやこだわりを具現化し、FREEDOM-Projectを支えているのです。