HP Workstation 導入事例紹介
医療法人社団 長谷川病院
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医療法人社団長谷川病院外観
医療法人社団長谷川病院(以降、長谷川病院)は、基本理念である「患者さま中心のよりよい医療」「こころのかよった診療を」を目指し、院長以下スタッフが一丸となって電子カルテ導入をはじめとするIT化に取り組んできた。最新のシステムと機器を活用し、患者一人ひとりの状況により合わせた診療が実現したほか、スタッフの業務効率アップにもつながっている。理事長・院長の長谷川徹氏(以降、長谷川氏)、診療技術部部長の柴田透氏(以降、柴田氏)、看護部副部長の中邑ひとみ氏(以降、中邑氏)、情報管理室主任の満田久知氏(以降、満田氏)に話を伺った。

医療法人社団 長谷川病院
理事長・院長 長谷川徹氏
長谷川病院は富山県富山市に昭和53年6月に設立した泌尿器科専門病院。病床は40床、1日あたり140人の患者が来院し、170人を超える透析患者を受け入れる。職員は約100人。院長を始めとし、医師、薬剤師、看護師、臨床工学技士、放射線技師、管理栄養士、検査技師、栄養士、看護助手、調理員、事務員、用務員らが勤務。
多くのスタッフが集まる同院の診療について、長谷川氏はこう説明した。
「医師を中心としたスタッフは同じ志を持ち、同じ方向を見ています。どのスタッフが対応しても同じレベルの診療を提供することを、全員が念頭に置いています」
同院のスタッフは基本理念である「患者さま中心のよりよい医療」「こころのかよった診療を」のもと、一人の患者に複数の医療スタッフが関わる「チーム医療」にあたっている。「チーム医療」では、カルテが紙カルテ1冊しかないと、同時に複数のスタッフが別の場所でカルテを見たい場合や治療・検査の履歴を調べる際に手間や時間がかかるなどの不都合があった。
同院は将来的な電子カルテ活用を見込み、平成8年頃から独自に医療情報ネットワーク構築について研究を開始。13年には専従スタッフを配置し、平成17年10月から電子カルテシステムを本格的に導入した。この時期の電子カルテシステムの稼働は同規模の病院としては全国的に見ても先駆けた事例となった。
電子カルテ導入準備に入った当初、長谷川氏は泌尿器科単科病院の同院は、総合病院に比べ導入が容易であると踏んでいた。単科ならIT化の波にも乗りやすいだろうとイメージしていたという。しかし、単科であっても、厨房や検査室、レントゲン室、外来のための診察室、手術室、薬局など、セクションは総合病院同様に揃う。IT化は大病院同様に考える必要があった。
キーボード操作に慣れない職員が辞職するケースが特に問題となった。また、当時は従来の紙カルテとレントゲンフィルムによる診察を好む医師も多かった。電子カルテ導入の中心的スタッフの一人であった柴田氏は「大病院ですら辞職された方が大勢いたと伺いました。当院では本当に大丈夫だろうかと、正直なところ心配でした」と振り返る。
電子カルテ導入と並行し、同院は平成15年から新病院の建設を進めていた。新病院の設計にあたっては、同院の理想の病院を具現化すべく検討に検討が重ねられた。今後のIT化を見据え、新病院では電子カルテを取り入れることが決定。少しでも早くから電子カルテに慣れる必要があると判断した長谷川氏は、旧病院の現場から電子カルテ導入することにした。
看護師は10代から50代と年齢構成が幅広い。中にはパソコンに触れるのが初めてというものもいた。看護師たちは、スタッフ日誌をパソコンで書いたり、研修を開催したりと、電子カルテ導入に備えたという。
「入力に時間が掛かかって残業になることもありました。しかし、お互いに教え合うなど協力し、1人の辞職者も出さずにすみました」
と中邑氏は胸を張る。



医療法人社団 長谷川病院
情報管理室主任 満田久知氏
新病院に移転した長谷川病院では、サーバシステムから端末まで十分に管理されたシステムを構築した。現在は今回導入したモバイルワークステーション「「HP EliteBook 8760w Mobile Workstation」の他、クライアントPCとしてノートPCが25台、デスクトップPCが42台、さらに1Gbpsネットワークおよび無線LANネットワークなどが敷設されている。
サーバシステムは、電子カルテサーバとして「HP ProLiant ML370 G4」が6台、PACSサーバとして「HP ProLiant ML370 G6」が3台、院内管理サーバには「HP ProLiant ML110 G3」2台と「HP ProLiant ML330 G6」1台を導入。IT機器をHPに統一することでサポートの一元化を実現した。
一般にIT化した病院では「医師やスタッフが患者の顔よりもコンピュータを見て診察している」との指摘をしばしば受ける。泌尿器科である同院の場合は、外来診療時だけでなく、透析中に行うベッドサイドでの診療でも、この点で苦慮することが多かったという。
医師がモニターを見て長々と入力したり、データの読み出し中にモニターをずっと見て待っていたりしたら、患者はどう感じるだろうか。同院が基本理念として掲げる「こころのかよった診療」を実践するために、コンピュータのレスポンスを極限まで速くしたいと考えるのは当然の流れだった。その答えとして現在活用されているのが、モバイルワークステーション「HP EliteBook 8760w Mobile Workstation」だ。
同院では透析中に医師の回診がある。その際は、医師がワークステーションを伴い、ベッドサイドを移動して回る。この間、ワークステーションは無線LANでシステムと繋がれ、患者は診療データを直接確認できるほか、疑問点には医師がその場で説明することができる。
ワークステーション導入前は、回診にノートPCが使われていた。 「アプリケーションの立ち上げや、データの読み出しに時間がかかるので、ノートPCは3台スタンバイさせていました。その3台を患者の前に並べ、回診が終わる度に次の患者へとスタッフが先回りして準備していたのです」と満田氏は当時の慌ただしい回診風景を思い出し苦笑いを浮かべた。
「回診中は複数のアプリケーションを同時に起動し、切り替える必要があります。一般的なノートPCでは処理速度が低下してしまいました」という満田氏。医師もストレスを感じるうえ、待たせる患者に対しても申し訳ない。この問題を解消するには、高速処理が可能な高性能なワークステーションが必須だった。
今回導入したワークステーション「HP EliteBook 8760w Mobile Workstation」は、4コア(8スレッド)プロセッサーにより処理スピードがアップ。医師やスタッフはワークステーションが1台あれば、ストレスなく必要なデータを素早く読み出せるようになった。また、バッテリー駆動時間も長くなり、回診中のバッテリー切れの心配がなくなった。「医師からも速くなったと喜ばれました」と満田氏は導入の手応えを感じている。
柴田氏は紙カルテやレントゲンフィルムには「用意してあれば、見たいものがすぐに取り出せる」という利点があったことは認めている。そのうえで「紙カルテやフィルムに比べ、ノートPCではレスポンス時間が長く感じることが不満でした。モバイルワークステーションは処理スピードが上がったため、使い勝手が紙カルテに近づいてきたと感じます」とワークステーションを評価した。
今回のシステムで診察室に配置されているデスクトップPCはレントゲン画像と電子カルテを一度に表示できるPACS(Picture archiving and communication system〈画像保存通信システム〉)を採用している。PACS導入以前は、レントゲンフィルムを確認する際、患者ごとにフィルムを探し出す手間が発生した。CT画像は医師が1コマ1コマを見て、立体画像を想像するのが通例だったという。従来の方法の欠点を知る満田氏はPACSをこう評価する。
「PACSならレントゲンフィルムを呼び出しもすぐできる。CT画像はコマ送りするだけで連続視できイメージしやすい。整理のしやすさはPACSが効率的です」






長谷川病院の透析室
電子カルテ導入前のシステムは「レセプトコンピュータ」と呼ばれ、診療報酬明細書を作る役割こそが重要だった。現在導入している電子カルテシステムは医師や看護師ら現場のスタッフが自分たちの行った診療について入力。それを医療事務スタッフが明細書として出力するという仕組みだ。この点について長谷川氏はこう指摘する。
「本来、技術職である医師や看護師が入力作業するのなら、その入力結果から得るものがなくてはならない。それは事例集めであったり、集計データの分析であったり・・・・・・入力の結果を診療の質向上に活かさなくては、技術職者が入力する意味がありません」
コンピュータ導入以前から透析患者の長期間に亘る検査結果をグラフ化し分析してきた透析部門は、医療現場で得た情報の取り扱いに慣れている。そのため、透析室のITシステムは当初からデータ分析への活用を視野に入れて開発された。
また、透析記録は同院独自のものを作成した。「1枚の用紙でこれまでの透析記録や透析中の血圧の経過、服用している薬、検査データなどがまとめて閲覧できるようにしています。例えば、旅行中などに他の施設で透析を受けられる患者さんにお渡しすれば、現地の医師がすぐにその患者さんの状態を把握できます」と中邑氏はその用途を説明する。
透析医療は、定型化された一連の診療行為が週2〜3回繰り返して行われるため、スケジュール管理が非常に重要だ。
同院の当初の月間予定作成システムは、来院や処置予定のスケジュール変更に多くの手間がかった。しかし、今では特定の患者のスケジュールを簡単に一括で変更できるようにカスタマイズした。透析の空きベッドを検索して予約できるシステムも活用。「患者さんをお待たせすることなく、スムーズに案内できるようになりました」と中邑氏は笑顔を見せた。
これらのシステム設計に携わった柴田氏は「全スタッフで勉強会を何度も開催し、医療のIT化について考えや課題、その解決策について話し合いました。そうした活動が功を奏したということでしょう」と導入成功の秘訣を明かした。
「今後の課題はデータのクラウド化」という長谷川氏。一人の患者さんのデータを複数の病院で共有する仕組みを模索中だ。医療分野におけるデータのクラウド化はその必要性が取り立たされながらも、個人情報保護の問題やシステム統一の難しさが指摘される。
今すぐに実現可能でないことは長谷川氏も分かっている。それでもこの課題を挙げた理由を長谷川氏はこう語った。「それぞれの病院が患者さんのデータを個別に蓄積しているため、同じ検査を重複して受けるなど、多くの無駄が生じています。病院間でデータを共有できれば日本全体の医療費抑制にもつながります。自分たちだけで解決できる問題ではありませんが、現場の医師や看護師らスタッフ一人ひとりが問題意識を持ちながら日々の業務にあたることが、医療界全体の発展や患者本位の医療の推進につながると考えています」。
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