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 2007年8月18日 日本全国ロードショー 監督: 曽利文彦 エグゼクティブプロデューサー: 濱名一哉 制作: OXYBOT株式会社 配給: 松竹株式会社
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2007年8月18日(土)フル3Dアニメ映画『ベクシル-2077-日本鎖国-』(以下『ベクシル』)が公開されます。本作品は世界中の映画関係者に制作段階から注目を浴び、全世界53カ国以上で公開が決まるなど高い評価を得ています。ベクシルは全てのカットが3DCGで制作され、総カット数約1500、上映時間109分に上る長編映画となり、膨大な量のCGデータにより映像が構成されています。 『ベクシル』の制作には日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下日本HP)のワークステーションが50台導入され、モデリングからレンダリングまで作品の全編に渡り使用されました。今回本作品にてCGスーパーバイザーとして参加したOXYBOT株式会社(以下OXYBOT) 松野 忠雄氏からベクシルの制作秘話とHPワークステーションの活用についてお話をいただきました。 |
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| OXYBOT株式会社 CGスーパーバイザー 松野 忠雄氏 |
| 1996年 |
株式会社東京放送(TBS)入社 技術本部 技術局 にてテレビ番組等のCGを担当 |
| 1999年 |
USC(南カルフォルニア大学)の派遣留学。 この時ソニー・ピクチャーズに在籍し、ハリウッド作品の制作に携わる |
| 2002年 |
映画「ピンポン」にてCGを担当 |
| 2005年 |
OXYBOT株式会社に出向、『ベクシル-2077-日本鎖国-』の制作に参加 |
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CG制作ではタフで安定感のあるハードウェアが必要となります。松野氏は1996年TBS 技術局に配属されて以来、10年以上TV番組や映画などのエンターティメント系CG制作に携わってきました。エンターティメントといえば、PCワークステーション業界ではどちらかといえばクリティカルな部分が少ないと思われがちですが、その実態は24時間フル稼働という過酷な現場であり、採用するハードウェアはかなりシビアな目で選定されています。今回日本HPのPCワークステーションが選ばれたその理由はどこにあったのでしょうか。
松野氏:「私はTBSのCG部でTV番組や映画のCGを数多く担当してきましたので、CG制作ではワークステーションの安定性が大切であることをよく知っていました。私が所属していた部署では、複数のメーカが使われており、その中の1つがHPでした。HPの印象としては、ノーマルで安定性があった点です。地味かもしれませんが(笑い)正直な感想です。でも、このノーマルで安定しているというのは重要です。制作会社というのは、従業員数はそれほど多くはないのですが、ワークステーションの使い方はエンタープライズレベルの堅牢さが要求されます。CG制作の流れを見ても、モデリングからレンダリング、そしてネットワークを使ったデータのやり取りなど、CPU、ハードディスクもメモリも休む暇もなく常にフル回転を強いられるのです。この苛酷な環境に耐えるにはいかにノーマルであるかが重要ではないかと感じています。 私はハードウェアについては減点法で考えるので、非常に厳しい評価基準を持っていると思います。例えば、以前いくつかのメーカ製ワークステーションを揃えて耐久テストをしたことがありました。CPUなどの諸条件を揃えた上で、1枚のレンダリングを行うのに1時間はかかる重いデータを何枚レンダリングできるかを試したのです。その時にHPのワークステーションは非常に成績が良く減点が少なかったのです。CPUやメモリは同レベルでテストしたので、マザーボードや冷却効率を含めた設計による成果なのかもしれませんが、この耐久テストの結果を見て当時HPさんのワークステーションに導入を切り替えた事もありました。」
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モーションキャプチャではノイズを取る作業があるのですが、この時ノイズを取り過ぎないように気をつけました。ノイズをどんどん取って修正を行っていけば、確かにきれいにはなるのですが、そうやって”整形されてきれいに見えてくる動き”と、”ナチュラルに見える動き”とは違うと言うのが私の持論です。私は、実際の俳優さんが演技するのと同じ動きをCGキャラクターで表現したかったので、”ナチュラルに見える動き”を大切にして、ノイズの取り過ぎ・修正のし過ぎに注意しつつボディーのアニメーションの制作を進めていきました。
見る人が自然に感情移入できる様にキャラクターの演技、表情についても工夫を凝らしています。キャラクター制作にはMayaを使用しましたが、『ベクシル』は、人物の芝居が中心となるシーンも多く、キャラクターのバストショットやアップのカットなどが普通に多用されています。そういうシーンでは、キャラクターの表情や演技がメインと言うことになりますから、表情や演技でしっかり中味を伝えられないと見ている方に人物たちの感情が伝わらず、お話の流れやテンションを損なってしまうことになります。
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モデリングにはAutodesk Maya®を使用し、キャラクター達の微妙な表情が伝わるように、陰影の調整や口元の微妙な筋肉の動きなどを細かく作り上げていきました。ベクシルでは4−5名のフェイシャル専門スタッフに表情付けを行わせましたが、制作当初は1カットのフェイシャルアニメーションに1ヶ月もかかってしまうなど、かなり作りこみを行ったのでデータ量も大きくなり、レンダリングの際には大量の負荷がワークステーションにかかっていました。」 |
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『ベクシル』ではジャグと呼ばれるモンスターが登場します。3Dキャラクターという“俳優”という現実的な演技付けに相反するように、非現実的なモンスターキャラの表現は3DCGの得意分野ともいえます。しかし、本作品に違和感なく存在するには決定的なリアリティが不可欠で、そしてそのリアリティが映画の見せ場を一気に盛り上げる重要な役割を担っています。このモンスター制作でもOXYBOTのこだわりと3DCG職人による技術がこめられていました。
松野氏:「『ベクシル』では様々なメカキャラクターが登場してきますが、その圧倒的な迫力を感じてもらいたいモンスターキャラがいます。それが“ジャグ”です。ジャグが砂漠から飛び出し、竜巻のようにせり上がってきて主人公を追いかけるシーン等があるのですが、圧倒的な迫力を表現するためにアニメーションテストを何度も行い試行錯誤を繰り返しました。その結果リアリティーや迫力を出すために、OXYBOTのテクニカルディレクター集団ともいえる技術班のスタッフ達がMaya用に独自のPlug inを開発し物理シミュレーションを取り入れた動きを加えていきました。
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物理シミュレーションを計算しながら、プログラムの調整を加え納得行くまで何度も繰り返し行いました。ここでもワークステーションを酷使することになったのですが、停まらずにきちんと動いてくれたので、イメージどおりに物量と迫力を持つモンスター ジャグが完成しました。」 |
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制作作業はノンストップという松野氏の言葉通り、『ベクシル』ではモデリングからレンダリングまでPCワークステーションを極限まで酷使することになりました。
カット数として約1500とはどのくらいのデータ量かも想像も付かない世界に挑戦しそして達成した過程には、レンダリング効率を上げるための工夫もありました。
松野氏:「ベクシルでは、細部にまでこだわったモデリングをしていますので、ポリゴン数も多くなりがちです。そのため、レンダリングの際になるべく負担を減らすように、レイヤー分けを行いコンポジットで質感を合わせるようにしました。3DCG制作を行う際には一般的な手法ですが、ベクシルではこのレイヤー分けを非常に細かくしました。
 このような工夫をしても、レンダリングは厳しくて2006年12月から今年(2007年)2月にかけての3ヶ月間はレンダーキューがおそろしく溜まっていき、真冬の時期でしたが暖房はもちろん不要で、制作オフィス内の熱も湿度もすごく上がっていました。レンダリングではAlfred(ネットワークレンダリング作業を振り分けるためのジョブディスパッチャー)を使いましたが、キューに入っている数は半端ではなかったです。
こんな極限状態でも、50台のHPワークステーションはトラブルが0(ゼロ)で乗り越えました。本当に、きっちりと仕事をしてくれたワークステーションでしたね。作品を制作する立場からみると、あまり飾り立てるような機能など必要なく安定して動いてくれるマシンが一番であると改めて実感しました。」 |
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過酷な制作スケジュールをクリアし完成した『ベクシル』。10年以上に及ぶエンターティメントCG制作の経験とハリウッドで学んだ制作フローをブレンドし、松野氏が渾身の力を注ぎ込んだこの作品は、世界に向けて、そしてハリウッドへの挑戦する究極のエンターティメント映画になりました。
松野氏「「ベクシル」は今持てる全てを注ぎ込みました。ハリウッドで培った経験、それに日本アニメのよさを加えることで、今までにないハリウッドアニメを超える究極のエンターティメント作品に仕上がったという手ごたえを感じています。そしてこの作品は、制作に参加してくれた全てのクリエーターさんの努力とチームワークにより生み出されました。そして、このチームワークを支えてくれたHPワークステーションも私にとってはチームメンバーだといえます。これからも日本HPさんとはクリエイティブチームの一員として共に制作を歩んでいきたいと思っています。」
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