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TBSドラマ「官僚たちの夏」
HP Z600 Workstation により生み出された昭和30年代の街並み
日曜劇場 官僚たちの夏 日曜よる9時

株式会社TBSテレビ(以下 TBS)では、2009年7月5日から日曜劇場(毎週日曜夜9時から放送)にて、作家・城山三郎原作の「官僚たちの夏」(新潮文庫刊)のドラマがスタートした。
この作品は敗戦から高度経済成長期へと向かう日本の通商産業省を舞台に、国家の未来を担う高級官僚たちの政策や人事をめぐる熱い戦いを描く骨太の熱いドラマである。

このドラマでは登場人物が住んでいる街並みや社会風俗も忠実に再現されている。これは当時の住民の生活感を再現することで経済発展の中で生まれる光と影を描き出し、昭和の熱気と活力を視聴者に伝えている。
しかし、昭和30年代の資料や映像は予想以上に少ない。だが、この時代の実際の記憶、空気感は多くの人が持っているため、制作にあたりTBSでは時代に沿った街並みを忠実なセットで再現し、また衣装や登場する小物一つにも気を配った美術制作を行なっている。
さらにCG/VFXの活用によりセットでは表現しきれないシーンを再現している。例えば、現存していない東京の路面電車と霞ヶ関の空撮シーンのCGによる再現により、ドラマのストーリーとキャストを引き立てることに成功している。

松野 忠雄氏

株式会社TBSテレビ 技術局プロダクション技術センターCG
CGスーパーバイザー 松野 忠雄氏
「官僚たちの夏」のCG/VFXは株式会社TBSテレビ 技術局プロダクション技術センターCGとOXYBOT株式会社(以下 OXYBOT)の共同制作で行なわれた。 連続ドラマという限りある時間の中で、クオリティに妥協しない制作を実現した裏側には、今回の制作のために導入したHP Z600 Workstation(以下 HP Z600)が持つ高いレンダリング計算能力と効率的なメモリー使用による安定性があった。
HP Z600がこの制作で果たした役割について、 株式会社TBSテレビ 技術局プロダクション技術センターCG CGスーパーバイザー 松野 忠雄氏(以下 松野氏)からお話を伺った。
「官僚たちの夏」
TBS系 毎週(日)午後9:00〜9:54 2009/7/5(日) スタート
●スタッフ&キャスト
原作:城山三郎「官僚たちの夏」(新潮文庫刊)
脚本:橋本裕志
演出:平野俊一、大岡進、松田礼人
熱き通産官僚の戦い!日本を変えた男たちの物語
城山三郎の同名小説をドラマ化。昭和30年代の通商産業省を舞台に、高級官僚たちの政策や人事をめぐる熱い思いを描く。日本を世界と肩を並べる豊かな国にするため、官僚たちはそれぞれの方法で努力を重ねていく。
生涯天下りをしなかった官僚・風越信吾を佐藤浩市、彼を取り巻く官僚たちを堺雅人、高橋克実、高橋克典、船越英一郎らが、また風越らと対峙する民自党幹事長・池内信人を北大路欣也が演じる。キャストはもちろん、物語の中で、時代が豊かになるにつれて変化していくというセットも必見!

 連続ドラマにおける3DCGの活用

松野氏 とZ600 workstation
OXYBOTにおいて「官僚たちの夏」の制作フローでは必要不可欠であった、計算能力の高いワークステーションとして、10台導入されたHP Z600 workstation。
 

TBSに入社以来数多くの映画、テレビ制作に係わり、USC(南カルフォルニア大学)にTBSより派遣留学した時にはソニー・ピクチャーズに在籍し、ハリウッド作品の制作に携わるなど、様々な経験と実績を積み上げてきた松野氏。その豊富なキャリアを持つ松野氏にとって2009年4月は大きなチャレンジを迎えた時であった。

「連続ドラマの制作では、放映が始まってしまうと1週間弱で必要なCG/VFXを仕上げていくスケジュールになります。そのため多くの場合、実写をベースとした映像同士を合成していくのが精一杯なのが現実です。
しかし、今回のドラマ制作では、ドラマの舞台となる昭和30年代の霞ヶ関のビル群の空撮や路面電車をフルCGで制作するというチャレンジが必要となりました。ドラマの中で昭和の高度成長期という空気感を出すためには必須のアイテムでした。

しかし現代においてかつてのビルや路面電車を撮影するのは当然不可能であるため、3DCGとして作る以外に手はありませんでした。とはいえ、実写との合成でCGの違和感や異物感をなくしながらも、ドラマのスピードに合わせた効率的な制作を進めるためには、今まで培ってきたノウハウをさらに進化させるため、一度既存のやり方やツールを根本から見直しフローの再構築を行う必要に迫られました。でも、この再構築は私がOXYBOT設立時からやりたかった事でもあったので、昨年からテストを含めツールの検証や技術的な課題の洗い出しを徐々に行ってきました。

その結果を踏まえ、今回のドラマ制作で実行に移しました。ドラマ制作のスピードにあわせたフローの再構築において、絶対に必要となるのは、そのフローを底辺で支え、制作時間の短縮に最も不可欠な存在となるパワフルなワークステーションでした。しかし昨年の検証を始めた段階では、この高い要求に答えてくれるパフォーマンスを発揮するワークステーションはまだ存在しませんでした。それが今年(2009年)4月にHP Z600がリリースされ、すぐに検証したところ見事に期待していたパフォーマンスを発揮してくれました。HP Z600はまさに必要とした時に登場したワークステーションでした。」

 綿密に計算されたCG制作手順

「官僚たちの夏」では制作準備として約2ヶ月の期間が用意され、時間がかかる路面電車や霞ヶ関ビルの空撮CGの制作が進められた。昭和30年代は高度成長期としてドキュメンタリーや映画でもたびたび取り上げられる時代であり、多くの視聴者にも印象的な記憶として残っている。そのためリアルな空気感を演出するCG/VFXのため、実写映像と違和感無く馴染みを持たせるための色管理の手法を含めた技術的な制作手順をくみ上げていった。

「CGと実写を合成する際に起きてしまう違和感をなくすために、レンダリングや色管理において様々なテクニックを考えました。この違和感を消すために、通常は最終的なコンポジットで非常に手間のかかる調整作業が行なわれていましたが、効率面からなるべくそうはせず、実写映像と馴染みがでるテクニックを開発しました。その1つとして画像を16bitでそろえ、調整するレンジを広く使うことで実写との融合性が高められた点があります。

また、昨年から本格的にテストしてきたレンダリングツールの3Delight(RenderMan®レンダラ)も64bit・マルチCPUをきれいに使いこなすアプリケーションでしたので、レンダリングの結果も速度も期待している通りの結果が得られました。放映が始まってからは3DCGの路面電車を順次完成させていくため、技術的な手順の組上げをしっかりと作り上げ、間違えがない設計をしましたが、この制作環境が思い通りに稼動しているのも、HP Z600の高いパフォーマンスと安定性があってこそなんです。」

豊橋の路面電車のカット
豊橋の路面電車のカット
拡大画像

豊橋で撮影した実写に、東京タワー・遠くの町並みなど様々なCGを合成し、仕上げられている。昭和のテイストがでていながら、実写ともよく馴染んでいる。

 色を馴染ませるワークフローを支えたHP Z600

今回の大きなチャレンジである色の馴染みを実現するためには、3Delightを始め全てのアプリケーションが持つ機能を100%以上引き出す必要があった。しかし、それを制作で実行するにはハードウェアに対する負担は想像以上に大きかった。HP Z600は64bitOS(Microsoft Windows Vista及び Windows XP)に、メモリー 8GB、クワッドコアのインテル® Xeon® プロセッサー 5500番台を搭載しているが、実際のレンダリング速度について今までのワークステーションとの比較も含め聞いてみた。
「ワークステーションに対する負荷については、R&D(Research & Development:アプリケーションやハードウェアに対する技術的な検証やレンダリング時間などの調査)期間を設け、今までの制作プロジェクトの中で少しずつテストをしていました。この中でHP Z600の特筆すべき点は計算能力が高いことです。

3DCG制作においては、この計算速度の速さが一番求められますが、今まで使用したワークステーションと比較しても、HP Z600は体感的に今までの10倍は早くレンダリングが終了しているのではないでしょうか。このスピードとパワーに加え、安定感もありました。今まではシーンが大きくなると、一部でレンダリングが回らないため、トライアンドエラーがやりづらい部分もあったのですが、HP Z600は継続的に安定稼動をしてくれたのでこの“停まる”ストレスを感じることはありませんでした。そのため、プレビューを行なえる回数も増え、色や構図などを次々に確認して制作を進めていけるので短い時間の作業でも高いクオリティの維持が可能となりました。」

路面電車のカット
路面電車のカット 拡大画像

 
実写との馴染みも極限にまであわせられている。また、視界にはわずかしか入らないが、交差点で行きかう路面電車や車など細部にわたり描き込む事で、自然な昭和の街並みを生み出している。

 蘇る路面電車と霞ヶ関ビルの空撮

「ドラマの中で昭和30年代を象徴する重要なシーンとして使われたのは、路面電車と霞ヶ関ビルの空撮である。忠実に再現するために、当時の資料や写真を参考にしながら制作が行なわれていった。
「路面電車は第一話から登場し、ストーリーの中でもたびたび登場しますが、当時の写真はモノクロでしか残っておらず、型式として近い路面電車が豊橋で動いていると聞き撮影も行いました。ただ、ドラマ用にこの路面電車をセットに持ち込んで撮影ができるわけではなく、また当時の車両とは色も異なっていたためドラマの中ではCGを上から被せています。

また、路面電車が走るレールも当時は道路状況が良くなかったので、コンクリートが亀裂している箇所が多々あったそうなので、その状況も合わせてCGで作り上げています。ドラマの中で違和感のない昭和30年代の身近な風景を作り上げることで、ドラマの演出を盛り上げるように作りあげました。」
当時の路面電車を忠実に再現するため、車両の動きや色など細かい点まで突き詰めて作り上げていったが霞ヶ関ビルの空撮もまた工夫と苦難が待っていた。それは昭和30年代に空撮された霞ヶ関の写真がなかったためである。あったのは、地上の他のビルから撮影されたモノクロ写真や昭和20年代に米軍が撮影したと思われるカラー写真であり、これらをかき集めクリエーターの発想と努力により実際には存在しない昭和30年代の空撮シーンが構成されていった。

「昔の新聞などに幾つか霞ヶ関の写真が残っていたのですが、モノクロで近くのビルから撮られているものしかなく、あとは昭和20年代に当時の軍関係で空撮したカラー写真(カラーといっても当時の技術であるため、水色っぽいカラー)が残っている程度であったが、この写真も戦後間もない時期であったためビルなどはまだほとんどありませんでした。この状況ではいくら写真を加工しても昭和30年代のビル群を作る事はできません。そのため色々な角度からのビルの見え方をシミュレーションしなが全て3DCGでリアルに作り上げる方法をとりました。」

空撮のショット
空撮のショット
拡大画像

当時の地図や数少ない写真を元に霞ヶ関の空撮シーンが見事に描き出されている。
路面電車と木更津のセットのショット
路面電車と木更津のセットのショット
拡大画像

下町の路面電車のシーンは、線路が引かれている道路のわれ具合など細かい部分まで再現され、当時の街並みをよみがえらせている。

 HP Z600によるコンパクトなシステムが実現

3DCGの制作ではレンダーファームを使い、大量のレンダリングデータを処理するシステム構成が一般的となった。「官僚たちの夏」ではこのファームに頼らないコンパクトな構成で制作が行なわれていた。それも、HP Z600が持つ計算能力の高さが証明されたといえる。

「3DCGの制作でファームに頼ってしまうと、大艦巨砲主義のような大型システムに傾倒していくことになります。しかし、もっと足回りをよくするためには、コンパクトにまとめる方が使い勝手や効率性が上がります。HP Z600はエイトコアを搭載していますので、これが自分の近くに数台あるだけでパワフルな制作環境を構築できる事になります。

自分の近くにパワフルな環境があれば、レンダリングの命令も投げればすぐに返ってくるので、ストレスがかなり軽減されます。このパワーのおかげで「官僚たちの夏」のCG制作現場では、事前準備制作期間に行なった路面電車や霞ヶ関の空撮の制作において、必要最小限約10名程度のスタッフで作業を可能としましたが、このコンパクトなワークフローとそれを支えてくれたHP Z600の計算能力の高さが証明されたためといえるでしょう」

TBS 日曜劇場 「官僚たちの夏」 Webサイト ≫ http://www.tbs.co.jp/kanryou09/ 日本HP外のウェブサイトへ
OXYBOT株式会社 Webサイト ≫ http://www.oxybot.com/ 日本HP外のウェブサイトへ
本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり閲覧される時点で、変更されている可能性があります。予めご了承下さい。


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