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HP Workstation 導入事例紹介
東北工業大学

 

東北工業大学様
HP Workstation 導入事例
災害時におけるIFCの活用を目指し安全・安心なまちづくりに活かす

  震災後の復興を見据えて取り組み続ける建築学科の試み

東北工業大学

東北工業大学は、仙台市の「八木山キャンパス」「長町キャンパス」を中心に、1964年の創設以来幾多の卒業生・研究者等を輩出してきた大学だ。キャンパスは仙台市中心部にほど近く、青葉城跡を望む高台にある。

現在では50年近い歴史を誇る工学部と、2008年度に開設されたライフデザイン学部の2学部8学科構成になっており、さらに幅広い教養と人間性を育てる場として共通教育センターが用意されている。大学院には2研究科6専攻が設置され、学生が望むキャリアパスを実現しやすい環境が整えられている。

昨年の東日本大震災では、東北沿岸地域はいうまでもなく、仙台市内においても各所で地震被害に見舞われた。東北工業大学でも被害はあったものの、従来から建築学科が中心となって進めてきた耐震補強などによって、建物自体への大きな被害は免れることができたという。

今回はその建築学科の中でも、建築情報モデリングを活用する環境・設備設計ツールの開発や、建物の省エネルギー対策に関する研究などを中心にしながら、現在では災害時の避難シミュレーションや津波に負けない建築物の設計など、幅広い研究を行っている東北工業大学 工学部 建築学科 准教授 許 雷 氏(以降、許氏)に話を伺った。

  環境シミュレーションの「見える化」を目指して

東北工業大学 工学部 建築学科 准教授 許 雷 氏
東北工業大学 工学部 建築学科 准教授 許 雷 氏

許氏は中国の無錫市出身で、同済大学大学院で博士前期課程修了し、2000年に来日した。「来日後、早稲田大学大学院建設工学専攻博士後期課程を修了し、工学博士となりました。中国での大学時代に第2外国語として日本語を学んだのですが、来日して3年で学位を取ることができました」と許氏は語る。

「私は設備・空調負荷などの研究を行っていたのですが、空調負荷などの計算では、図面からデータを拾って、材料などの情報を加味しながら計算を行っていました。これがきっかけで、建物情報モデル(ビルディングインフォメーションモデル、以下BIM)の研究を始めることになりました。早稲田大学の助手になったときに、BIM関連の研究を始めたということです」と許氏。

一般にはあまり馴染みがないBIMだが、現在の建設業界では情報化が進んでいて、従来の2Dの図面から単純に3DCADにデータを移すだけでは、要件を満たさないこともあるという。許氏によれば、「BIMでは対応する3DCADソフトを利用することで、例えば3Dモデルを立ち上げたときに、その場所が壁なのか建具なのかといった情報から、壁であればその構造はどうなっているのか、というような詳細な情報まで持たせることができます。これにより、設計者から実際の施工業者までが統一したイメージの下で作業することが可能になり、材料なども含めた設計内容の把握が容易になるのです。つまり、図面データから建物そのものが「見える化」できることにつながり、専門家だけのものだったデータを幅広く応用できる可能性につながるのです」と語る。

許氏はBIMの国際標準仕様に基づいて、3DCADの活用による建築意匠・設備設計が一体となった環境設計手法を提案している。そこで得られた知見を、設備会社などへ提案することもあるそうだ。ちなみにこの国際標準仕様はIFC(Industry Foundation Classes)と呼ばれ、IAI(International Alliance for Interoperability)という国際団体が定義を行っている。IFCに従えば異なるBIMツール間でのオブジェクト情報共有も可能になるが、最新の建設技術や建築資材に合わせて常に進化している。事実上の国際標準仕様として、今後も発展することが期待されている。

「CADは単純な製図道具として捉えられることもありますが、実際にはもっと大きな可能性を持つものだと考えています。BIMを加味することによって、CADツールは考える『匠の手』に進化していくのだと思います」と語る許氏。それに加え、「東日本大震災による電力不足もあり、建物における電力消費量の削減や節電対策といった省エネルギーも喫緊の課題です。さらに有事の際に起こる建物火災の発生に備えて、避難シミュレーションなどによる災害の『見える化』も重要になってきます」とも語ってくれた。

  ワークステーションの高信頼性が生み出す研究成果

HP Z800 Workstation
HP Z800 Workstation

BIMでは取り扱うデータ量も増大するため、高性能なマシン環境がどうしても必要になる。現在ではコンシューマー向けのハイエンドPCを利用すれば、ワークステーションに匹敵する性能が得られる場合もあり、どう選択していくのか悩む場合もある。特に予算が限られる大学の研究室などでは、コストパフォーマンスも重視しなければならない。

その点について許氏は、「私の研究室でZ800を導入することを決断した最大の理由は性能の高さに加えて、やはり長時間稼働させた場合などでも、信頼性が非常に高いという点にあります」という。「実はZ800を導入するのは、今回が初めてではありません。そのため、コストパフォーマンスについては、ハイエンドPCなどと比較しても、十分に満足できるものであることがわかっていました。研究室には複数台のZ800を導入していて、今回はさらに追加で1台を購入することができました。昨年の卒論製作のシミュレーション作業などのために、学生に使わせるために16GBメモリを搭載したスペックの高いマシンを解放したので、自分の研究用にできればもう1台、と考えていました」とにこやかに語る許氏。幸いにも使用できる予算の範囲内で、Z800が追加購入できることになったということで、新戦力として投入することを決断したそうだ。

許氏のデスク下に設置されたZ800
許氏のデスク下に設置されたZ800

研究室では3DCADソフトとして、主にグラフィソフト社の「ArchiCAD15」を利用している。「バージョンアップが毎年くらいの頻度であるので、ついていくのもなかなか大変です」と笑う許氏。データ量にもよるが1回の計算に数時間かかることも珍しくなく、長時間の連続運用も想定されるため、システムの安定性が重要なポイントになるそうだ。これについて許氏は、「Z800を使って色々な作業をしていますが、信頼性という点では非常に満足しています。どうしても複雑な計算には時間がかかりますが、長時間使っても大丈夫という安心感があります」と語る。

実際に「ArchiCAD15」のようなCADソフトを利用する場合、たとえば建物全体の外観を閲覧している状態から、細部の構造確認やウォークスルーでバーチャル表示をさせるなど、様々なレベルでの表示を瞬時に切り替えながら作業する。このため、ちょっとしたもたつきでも積み重なるとストレスになるものだ。これについて許氏は、「必要に応じてCPUを複数搭載できたり、超高性能なグラフィックスカードに変更できたりといった点で、自分の要求する環境に近づけやすいワークステーションは、導入するメリットが大きいと感じています」と語る。

建築設計のような「マルチタスク」の業務では、図面、パース、一覧表など様々な情報を瞬時に確認しながら作業することになる。CADのようなプロフェッショナルなアプリケーションだけでなく、大容量のPDFを複数開いて各種データを確認したり、ブラウザでのウェブ情報表示やメール関係といった日常業務も含めて、かなり負荷の大きい「マルチアプリケーション」環境を利用することが多い。そのような場面では、やはりワークステーションクラスのグラフィックスでマルチモニター環境での作業が最適だ。

いちいちウィンドウを切り替えていると、それにより思考が途切れてしまうこともある。このような場合はマルチモニター環境が最適なのだが、実際に許氏はZ800をデュアルモニターで運用している。「現在は27インチワイドモニターと、サブとして19インチ程度のモニターを並べています。たとえば左側の大きいモニターでCADソフトの画面を表示し、右側でFDSを使った避難シミュレーションを表示させる、といった使い方をしています。両方を眺めながら作業できるので、全体として生産性も向上しています」と語る。また、「予算などとの兼ね合いもあるのですが、できれば27インチワイドモニターなどを追加して、さらに快適な環境にしたと考えています」とも語ってくれた。

デスク下にZ800を設置し、27インチモニタを中心にデュアルモニター環境で利用
デスク下にZ800を設置し、27インチモニタを中心にデュアルモニター環境で利用

  さらにグラフィックス性能の向上を目指したカスタマイズ

AMD FirePro™ V7900 プロフェッショナルグラフィックス
AMD FirePro™ V7900 プロフェッショナル
グラフィックス

新たに導入したZ800には、AMD社製の「AMD FirePro™ V7900 プロフェッショナルグラフィックス」というグラフィックスカードを搭載している。これは許氏のニーズを踏まえて、AMDの担当者が提案したものだという。

「私の研究では3DCADを中心に利用していますが、他にも避難シミュレーションなど多様なソフトを利用しています。これらの分野では、グラフィックス性能を重視する比重が高いので、ワークステーションのグラフィックス性能をさらに向上させたいと考えていました。担当の方とやり取りする中で、そのときに多少の予算的な余裕があったために、このグラフィックスカードを購入して搭載することにしたのです」と許氏は語る。

高性能なグラフィックスカードを追加したことでさらに快適な環境に
高性能なグラフィックスカードを追加したことでさらに
快適な環境に

許氏が利用する「ArchiCAD15」の3Dウィンドウや、BIMモデルビューワーである「BIM Explorer」などでは、OpenGLを利用してモデルの高速ナビゲーション、シャドウやグローバルイルミネーション効果等を実現している。Z800のようなワークステーションでは、標準装備のグラフィックス性能として、OpenGLに対応するのが一般的だ。このあたりも、コンシューマー向けPCとは異なる部分で、ワークステーションならではといったメリットだ。最適化されたドライバーを実装するため、高度なグラフィックス・レンダリングを連続して行うような環境でもストレスなく対応できる。その上で、今回は予算的にもOKが出たということで、高性能な「AMD FirePro? V7900 プロフェッショナルグラフィックス」を追加搭載できたということだ。

  授業や学会でも高精細なグラフィックスを提示したい

HP EliteBook 8460w/CT
HP EliteBook 8460w/CT

許氏はZ800の他に、実はモバイルワークステーションの「HP EliteBook 8460w/CT」も利用している。これもやはりグラフィックス性能を重視した選択だということで、その理由についても伺ってみた。

「授業などではノートPCを利用して、学生にシミュレーション結果などを見せることもよくあります。しかし、一般的なコンシューマー向けのノートPCの場合、高性能なグラフィックスカードを装備するモデルがあまりないので、せっかくZ800で高精細な画面を作っているのに、同じものが提示できないという不満を感じていました」と許氏は語る。「そのように感じていたときに、東京で開催されていた『ArchiFuture2011』というイベントに参加する機会を得ました。そこで初めて8460wに触れてみたのですが、計算速度の速さと価格の安さにまず驚きました。詳しくお話しを聞いてみると、グラフィックス性能も一般的なノートPCより格段に優れていることがわかりました。これは自分の研究でも活用できると思い、展示会の直後の購入したのです」と導入を決意した理由を語る許氏。

8460wには「AMD FirePro™ M3900」が装備され、1GBのDDR3メモリが搭載されている。ハイエンドなノートPCと比較しても、グラフィックス性能に関して大きなアドバンテージがある。

8460wを駆使して授業や出張でも活用している
8460wを駆使して授業や出張でも活用している

「実際に利用してみても、絶対的な性能ではZ800とまではいかないものの、十分に満足できる計算速度と美しいグラフィックス性能で役立っています」と語る許氏。同氏は各地での学会や発表会に参加するために出張する機会が多い。そういう場面でも、研究室と同じ環境が手軽に持ち出せるため、高品質なプレゼンを実現するのにもモバイルワークステーションは貢献しているのだという。サイズや重量なども、一般的なノートPCと同じようなものなので、持ち運びやすい点も気に入っているのだという。

コストパフォーマンスという点で考えてみれば、最新のCPUを搭載したノートPCも基本スペックが高い製品は価格もそれなりになる。8460wと比較しても、ほとんど変わらないモデルも多い。場合によっては、8460wの方が有利になることもあるだろう。限られた予算の中でも、最大のパフォーマンスを発揮するマシン選定として、許氏のニーズにうまく応えることができたのだといえそうだ。

  大震災後の復興を確かなものにするための研究を

BIMプランニング賞・IFCデータ連携賞

東日本大震災は、建築学科に属する学生・教員の研究目標にも大きな影響を与えたという。当然ながら、地震や津波に負けない建物の研究や、いざ災害が発生したときにダメージを最小限に抑えるための技術など、研究分野は多岐に渡っている。

許氏の研究室では、BIM技術を活用した安全・安心な建築プロセスの提案も積極的に行っている。「今回の津波は“想定外”であったとよくいわれます。しかし、問題は想定した津波の高さにあったのではなく、想定を越えた場合の最悪な事態の回避、という視点が欠けていたということではないかと思います」と許氏はいう。「東日本大震災によって、予想を超える自然災害の発生が現実になった以上、これまでの建築設計手法を根本的に見直すべきだと考えています」とも教えてくれた。

これに関連して、もし津波に襲われても耐えられる構造の建築物の研究として、津波に強いデータセンターの設計提案なども行っている。この研究は、2011年9月に建築保全センター、セコムIS研究所と合同でチームBIXを結成し、日本IAIが主催する「Build Live Kobe 2011(以下、BLK2011」のコンペにおいて、優秀賞(BIMプランニング賞・IFCデータ連携賞)を受賞している。

8460wで表示しているのは避難シミュレーションができるFDS
8460wで表示しているのは避難シミュレーションが
できるFDS

BLK2011はITを駆使して建築計画を競う取り組みで、今回は実務クラス・学生クラスそれぞれ8チーム・合計16チームの参加があったという。実務クラスでは、課題が提示されてから48時間以内に完成させることになり、ここでもモバイルワークステーションの8460wが活躍する場面があったようだ。

「計画建物を大きな地震・津波にも耐えられる防災の拠点とすべく、流体解析シミュレーションなどを繰り返しながら、最適な形状の選定などを行いました。また、建物だけではなく、防波堤の働きを兼ねる“緑の丘”の設置など、計画区域内だけではなく都市レベルで減災をすることを目標にしました」と許氏は語る。

「ArchiCADで作成した建物のIFCデータから、建物の形状・寸法などの情報を取得し、避難シミュレーションを行うソフトのFDSの入力用テキストを作成するなどして、データ連携を図っています。平行して人動態シミュレーションを用いて、ゾーニングのプランを絞り込むなど、限られた時間で大変な作業になりました。パラメータを自動作成するプログラムを作成するなど、このために各種ツールを開発することも必要になり、事前にチームメンバー間で綿密な打ち合わせを、Skypeなども使って実施した成果が発揮できたのだと思います」と許氏は振り返る。

家具転倒シミュレーションなども行っているため、リアリティのある避難シミュレーションの結果とあわせて、実際の災害時に逃げ切ることができる建物を作れるのか、そこまでBIMでは実現可能になってきたのだということがわかる。

  「創造から統合へ」分野を超えた連携をしていきたい

許氏によれば、「建築というのは理系の学問だと思われてきましたが、現在では文理両方の要素が重要になってきているのだと感じています」という。地震や津波に強い建物を作ることができたとしても、その内部にいる人々がスムーズに避難できなかったり、外部から逃げ込みにくいような建物では価値が下がってしまうのだ。

「例えば現在私たちは、FDSなどの避難シミュレーションソフトを使って、火災発生時などに最適な避難経路へ導けるような設計を考えています。しかし、そこで利用するパラメータが現実に即したものでなければ、計算上いくら正しい解でも、災害発生時に機能しない可能性があるのです。そのため、FDSを利用する場合でも、日本の実情にあわせた人間の移動速度や、お年寄りが多い地域であれば細かくパラメータを変更するなど、チューンアップが必須になるのです」と許氏はいう。「これらを考えていくと、計算上の強度や仮定だけではなく、文系の分野である防災関連の心理的状況や、人々の行動パターンなども取り込んでいく必要があります。そういった意味で、建築学も文理両方が重要だという訳です」と教えてくれた。

「東北工業大学のスローガンに、“創造から統合へ”というものがあります。時代の変化に対応し、社会の求める人材を育てるためにも、私の研究室でも新しい建築学科のあり方を模索しているところです」と許氏は語る。ワークステーションなどのツールを駆使しながら、人々の快適な暮らしと安全・安心を共存させるための研究活動に今後も期待したい。

「創造から統合へ」分野を超えた連携をしていきたい

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