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掌編連載小説 「ヤマタイ・チャレンジに乾杯」

第二話 「ヤマタイ・チャレンジに乾杯」解説編

掌編連載小説 「ヤマタイ・チャレンジに乾杯」

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SOA。そのパラダイムシフト
採用する企業にSOAは何をもたらすのか?
自社のアジリティの弱点、強化点をどのように発見したらいいのか?
SOA導入のメリットを体感するには?

解説者(プロフィール)

 
近藤 史人 日本ヒューレット・パッカード株式会社
コンサルティング・インテグレーション統括本部
シニアコンサルタント
近藤 史人
 

採用する企業にSOAは何をもたらすのか?

―最初にお伺いしたいのは、SOAは企業に何をもたらしてくれるのか、という素朴な問いです。

近藤 一言で言えば、変化への対応速度を加速できるということです。つまり、企業に必要な俊敏性=アジリティを獲得できるのです。これが一番重要でわかりやすい効果です。変化に適応することは、昔から企業が考えてきたことです。しかし、現在では、その前提となる変化とコストのパラダイムが変わりました。

現在、我々が迎えている環境は、一言で言えば成熟社会です。工業化社会と成熟社会では、様々なパラダイムの変更があります。市場の多様化、商品の多様化、これにつれて業務プロセスも多様化します。異質に思えるかもしれませんが、M&Aも業務プロセスの多様化のひとつと言えます。環境に適合するために自社のリソースだけでは限界にきているのです。また、同じように販売チャネルの多角化や、顧客へのサービス速度の革新なども、環境の淘汰圧に耐えるために、経営者は考えなければなりません。こうした変化が、結果として企業の業務プロセスや組織そのものの改変をもたらします。こうした変化に従来のシステムが対応するには重大な変更を含み、場合によってはシステムの組み直しに発展します。

たとえば、お客さまのご要望を伺う部署と商品組み合わせの適切さを判断する部署、そして与信審査部署が別々に存在している保険会社を想定してみてください。それぞれが決済することを考えると、意思決定に要する時間は相当なものになります。一昔前までは、こうしたプロセスで業務は行われていました。

このような状況で、電話をくださったお客さまに、その場で、提供できる具体的サービスを案内し、そのことでお客さまの意思決定を促し、業務効率とお客さまサービスを同時に向上できると考えたとします。そのためには、電話応対する人が、膨大な商品組み合わせの可能性と、与信と決済を短時間に扱う必要が生じます。しかし、こうした業務は従来の組織では対応できませんから、組織の機能とそれぞれの組織に提供されてきたシステム機能を統合する必要があります。これは新しいシステムを必要とする変化です。

このような変化が日常的に発生しているのが、今日の企業活動です。変化に俊敏に対応するうえで、現在大きな期待を寄せられている手法がSOAということになります。SOAでは一連の業務プロセスから、そこで使用されるシステム機能をサービスとして分離し、個々のサービスは疎結合されて業務プロセスをサポートします。環境が変化し、業務プロセスを変更する場合も、それに応じたサービスを選択することで対応できます。こうして、所属部署や既存のビジネスプロセスがどんなに変化しても、ITは柔軟に対応することが可能になるのです。

―SOAを採用した企業は、変化対応へのアジリティが得られることはわかりました。では、なぜアジリティを実現できるのでしょうか?

近藤 それは、SOAがソリューションではなく、システム開発をする上での“業務サービスを基盤として考える開発手法”でありアーキテクチャだからというのが、その答えです。システムに採用されている個々の技術から捉えようとすると、SOAは矮小化されて全体が見えなくなる。そうではなくて、“業務サービス=目的であり対象そのもの”をモジュール化し、その集合から、業務に必要なものを取り出して使えるようにする、そうした概念を実行に移す“開発手法”として捉えると、業務をどうのように改革するかをシステムに縛られずに考察することが可能になります。また、どのような技術をどう組み合わせたらよいかを自由に選択できるようになるのです。

それはスポーツや戦闘組織で考えるとわかりやすいかもしれません。競争したり、戦闘したりする組織の変化はとても流動的だからです。変化を常に必要としているスポーツ、たとえばサッカーのフォーメーションと局面ごとの変化は象徴的です。それぞれがモジュールとして意思と特性を持ち、しかも全体が局面ごとに違った可能性を持たなければならないからです。一人一人が周囲の状況変化を的確に判断して行動する。誰かの指示を待っていたのでは変化に対応できません。

組織自体のあり方をモジュールと全体の関係に置きかえたとてもドラスチックな変化の例は、アメリカで現在進行中と言われている戦闘組織の再編があります。陸軍で施行されているものですが、IT時代だからこそ可能になった方法論であると同時に、戦闘実態がパラダイムシフトした結果としての変化と言えます(図1参照)。

個々の単位集団がモジュールとして個々につながり、個別の状況に対応したり支援したりする判断をします。それと同時に情報を集約して全体を把握する機能も強化され、状況に応じて素早く対応できます。従来の師団を基礎にした中央集権的な戦闘組織ではありません。モジュールと全体の関係を、時には部分の環境変化に合わせることも、全体の状況に合わせて変化させることも念頭に置いています。SOAの発想にとても似ています。

 
図1: 2つの組織概念
ヘッドクォータを中心とした中央集権的な組織では、意思決定から行動に至るまでに時間がかかる。下図のように自律分散したモジュールが連携した組織であれば、どんな状況変化にも対しても迅速な意思決定ができるので柔軟に対応できる
図1 2つの組織概念

いずれも、中央集権的な意思決定から自律分散した単位で意思決定を行うことで、刻々と変わる状況変化に素早く対応できるのです。つまり、従来のサービスと業務プロセスが一体化しているシステムは中央集権的であり、変更するには時間がかかります。一方、サービスと業務プロセスが分離され、業務機能が細分化されたモジュール(サービス)として疎結合するSOAは、個々の業務プロセス変化に対応したモジュールの組み合わせが自由自在であり、スピーディに再編できるというわけです。
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