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掌編連載小説 「ヤマタイ・チャレンジに乾杯」

第二話 「ヤマタイ・チャレンジに乾杯」解説編

掌編連載小説 「ヤマタイ・チャレンジに乾杯」

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自社のアジリティの弱点、強化点をどのように発見したらいいのか?

―今日、アジリティが大事であることは多くの経営者が認識していると思います。そのために、ITの役割も変わらなければならないと感じている。しかし、どうも「頭でわかって、身体が追いついてない」ようです。

近藤 今までのITは、効率化の面で大きな成果を上げてきたことは確かです。ITを導入すること自体に価値がありました。しかし、現代におけるITの価値は、IT導入そのものによって生み出されるというよりITが業務変革のイネーブラーとなり、業務変革を可能にする点にあります。

したがって、業務変革によって産み出される企業価値を測定しなければ、正しいITの導入効果を測定することはできません。IT導入を考える以前に、どのような戦略、どのような業務の変革をすべきか、これを考える過程でITを導入するという流れに変わっているのです。
採用する企業にSOAは何をもたらすのか?
自社のアジリティの弱点、強化点をどのように発見したらいいのか?
SOA導入のメリットを体感するには?
 
日本ヒューレット・パッカード株式会社

コンサルティング・インテグレーション統括本部

シニアコンサルタント

近藤 史人

現在は、IT導入の際に、明確な目的と目標を持つ戦略的な企画能力の有無がIT活用の明暗を分けます。同じITを導入しても、誰もが等しくその効果を享受というわけではありません。残念ながら、現在の日本企業の多くは明確な目的と目標がありません。たとえ目標があるとしても、単なるお題目になっていることが少なくない。だから、現場の人間は「本当に実行しよう」というモチベーションを持てないのが実状です。

アルファベット3文字熟語につられてITを導入した時代は終わりました。ユーザーもベンダーもその反省に立ち、本当に企業価値を高めるITは何かを考えなければなりません。SOA導入を成功させるには、経営層とユーザー部門とIT部門が一体となって、自社の強みや弱みを分析した上で、アジリティの弱点を発見しそれを強化する戦略を策定しなければなりません。

―では、アジリティを阻害している原因を発見し、アジリティを強化するための何かいい方法はあるのでしょうか?

近藤 原因を特定せずに対策を立てても的外れとなり、そこに費やした時間とコストはムダになってしまうことは明らかです。そこで私たちHPでは、お客さまのアジリティの弱点を発見し、アジリティを強化する方法論としてISAC(アイザック:IT Strategy Accelerated by Consulting)を提供しています。スペースの都合上、詳細はお伝えできませんので、そのエッセンスをご紹介します。

私たちは、情報システムだけでは企業のアジリティは実現できないので、情報システムインフラの整備と業務改革を同時並行で進めることを提案しています。そのために企業全体のエンビジョニング(ビジネス上の要求から課題を抽出しITにおける課題に展開すること)を行います。成熟した市場では、次の1〜5のサイクルが短期化しつつ繰り返していますので、ITインフラ、人・組織、業務プロセスの全ての面でアジリティの弱点を発見し、強化策を立案しなければなりません。

  1. 外部環境への適応した戦略の立案
  2. 戦略をアクションに具体化
  3. プロセスを改善
  4. 実行結果の評価
  5. 評価の戦略へのフィードバック
したがって、ISACではこの5つを包含した対策を立案します。その大まかな流れは図2のようになります。まずは、外部環境からくる機会と脅威を分析し、自社の強みと弱みを把握して機会と脅威に備える戦略を策定します。そして、その戦略に基づいた事業モデルを策定し具体的なアクション項目に落としてから、IT導入戦略を作成するという段取りです。
 
図2: ISAC Envisioningの流れ
ISACでは情報システムインフラの整備と業務改革を同時並行で進めることでアジリティ強化を実現する
図2 ISAC Envisioningの流れ
ISA: Industry Structure Analysis
SWOT: 組織の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの軸から評価する手法
SVDS: Strategic Value Delivery System、自社の競争能力を可視化する
BPM: Business Process Matrix、アジリティの阻害要因を発見する
AIA: Agility Impact Analysis、アジリティを強化する具手的アクションを策定する
SC: Strategy Chart、IT導入の優先順位とスケジュールを決める
   
 

ここでは製造業の例をベースに、アジリティの弱点をどうやって発見し、強化したらいいかに絞ってご紹介します。SWOTで得られた各戦略から自社のアクションプランを抽出し、それらの実行とそれに伴う市場環境の変化により、どこの業務プロセスの変化が予想されるか、数年先まで考察し、自社にとっての競争要因とそれを実現する価値創造プロセスを定義していきます。ここでは仮に、「多用途に転用できるスピード」「低価格・高燃費・高耐久性」「販売チャネルの多様化」であるとしましょう。ここまでがSVDSになります。

 
次にBPMに基づいて現状の業務プロセスを分析します(図3参照)。全社の業務プロセスを斜めに書き出していきます(図中左上の「顧客」「Web」「営業」から右下の「サービス」「仕入先」までのライン)。あるプロセス要素から取り出した出力情報はその右に出て、それを受け取るプロセス要素の上に定義します(図中の「市場情報」「BOM」など)。プロセス要素からフィードバックされる情報は、プロセス要素から左に出て、それを受け取る要素の下に定義します(図中の「見積り」「設変依頼」)。こうして書き出した業務プロセスをユーザー部門とIT部門の人が一緒になって眺めながら、アジリティの阻害要因になっているアジリティバリアは何なのかについて議論し抽出していきます。

SVDSで得られた「多用途に転用できるスピード」「低価格・高燃費・高耐久性」「販売チャネルの多様化」とそれらを実現する価値創造プロセスを、現状と見比べて検討し、アジリティを阻害している要因を抽出するのです(図中の斜め赤字部分)。ここでは、「顧客DBが二重」「開発プロセスが頻繁に変更になる」「E-BOMとM-BOMの情報連携が悪い」「サービス体制が不十分」「仕入れのコスト高」となりました。

図3: BPM (Business Process Matrix)
BPMによってアジリティの阻害要因を抽出する。ここでは、「顧客DBが二重」「開発プロセスが頻繁に変更になる」「E-BOMとM-BOMの情報連携が悪い」「サービス体制が不十分」「仕入れのコスト高」が抽出された
図3 BPM (Business Process Matrix)
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  次に、それらアジリティを阻害している要因を「Agility Driver」に変換するにはどうしたらいいかを考えます。環境の変化が起こったときに容易に追随できない要因は何かを検討し、その解決策を策定します。たとえば、「開発プロセスが頻繁に変更になる」に対応するには図4のようになります。

その結果、開発プロセスを変更しても情報共有できる仕組みを作るために、「組織の壁をなくすチーム制の導入」と「情報共有のSOA化」という解決策が導き出されます。ここでのポイントはビジネスとIT双方の解決策を同時に策定する点にあります。組織の壁が残ったままで、IT化しても十分な効果を得ることはできないからです。私たちが、情報システムインフラの整備と業務改革を同時並行で進めることをご提案する所以です。

特にSOA化あたっては、ビジネスとIT両面からのアプローチを外すことはできません。多くのITベンダーがありますが、この双方を同時にご提案できるのは、ツール等に依存せず世界中で実績を積んできた私たちHPの強みだと自負しています。

図4: AIA Chart
AIA (Agility Impact Analysis)によってアジリティバリアをAgility Driverに変換するためのブレークダウンを行う
図4 AIA Chart
 
特にSOA化あたっては、ビジネスとIT両面からのアプローチを外すことはできません。多くのITベンダーがありますが、この双方を同時にご提案できるのは、ツール等に依存せず世界中で実績を積んできた私たちHPの強みだと自負しています。

―抽出されたAgility Driverは一つとは限りませんね。どこから手をつけたらいいのでしょうか?

近藤 通常、複数のアクションアイテムが導かれますので、それぞれのアクションアイテムについて、導入容易性をコスト、人・組織、技術の側面から評価します。そして、それらを導入した際の効果について、会社の目標に沿って評価し、最終的な優先順位を決めることになります(図5参照)。

 
図5: Strategy Chart
アクションアイテム導入の優先順位とスケジュールを策定する
図5 Strategy Chart

豊富なリソースがあれば同時並行で進めることもできますが、通常は限られた予算、人員しかありませんので、最優先事項から取り組むほかありません。ここでは、最初に「SOAによる共通基盤作成」に取り組み、順次、「情報システム機能」「営業力強化」「サービス企画力強化」に取り組んでいます。  

SOAは既成のパッケージなどと異なり、お客さまの数だけ解決策があるオーダーメードのITと言うことができます。だからこそ、本当の競争優位を実現できるのです。

―では、どのような企業にもSOAは対応できるわけですね?

近藤 必ずしもそうは言えない部分が2つあります。一つは、定型的な作業を繰り返し行うことが主な業務や企業の場合です。この場合は密結合のシステムの方が効率的でかつ運用に手間がかかりません。二つめは、導入するときの体制の問題に関係します。SOAへの移行は費用と手間がかかります。また、情報の扱い方そのものの考え方にも変化を生じます。

したがって、従来型のシステムから脱却する意志と、革新を指向するガバナビリティが確立されていないと不十分なものになりがちです。しかし、一部の優良企業を除いて、十分なガバナビリティが確立されている企業は日本にほとんどないのではないでしょうか。こうしたことから、HPでは、SOA導入に際して、「HP SOA 7サービス」という体系だった導入のメソドロジーを提供し、お客様のガバナビリティを高めつつ、SOAの導入を計画していくプロセスをご提供しているのです。ですから、お客様は、変わりたいという明確な意思さえ持っていただければ、HPはそれをご支援することができます。

課題をクリアしてSOAを導入した企業は、今後どのような変化が起っても、その変化に迅速・柔軟に対応することができ競争優位を持続することができるはずです。私たちはSOAを通じて、お客さまの継続的な競争優位を実現するお手伝いができればと願っています。

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