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Low latencyなトレーディングシステムの追求

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Low latencyなトレーディングシステムの追求

取引所システムの高度化、ECN/PTS市場の台頭、ダークプール市場の設立・・・・・・ 新たなトレーディング環境で勝ち抜くにはLow latencyなトレーディングシステムへの移行が不可欠です。欧米の大手金融機関ではすでに次世代のLow latencyシステムが導入されていますが、さらに日々最新のテクノロジーの導入へ挑戦し続けており、100分の1秒単位でのパフォーマンスを競っています。

スピードと情報精度を追求する

市場での優位性を獲得するために、金融機関ではマーケットデータなどのリアルタイム情報をモニターし、評価、分析、処理するための非常に複雑なコンピューティングモデルを採用してきました。これらモデルの出すアウトプットは、顧客のエクイティ・ポートフォリオのリバランス、リスクおよびポジション管理、デリバティブの評価、先物取引、商品取引など、金融機関をまたがる複雑な意志決定をサポートしています。デリバティブなどの分野の驚異的な成長に加えて、構造的な市場の変化や法規制の遵守要件の高まりによって、このようなモデルは金融サービス業界全体で広範囲に採用されてきました。

こうした分析の基となるマーケットデータは2000年と2008年のデータ量を比べると約190倍にもなっており、この大量のデータを処理することに加え、100分の1秒単位でのLow latencyを追求し、他の金融機関との競合優位性を勝ち取ろうとしています。Low Latencyが投資銀行、証券会社といった金融機関の収益を生み出す重要な要素になっています。

このようなマーケットデータを利用したアルゴリズミック、ブラックボックストレーディングのような自動発注システムにより、1取引あたりの取引金額は低下し、また、取引件数は増加しました。取引手法の多様化によるオーダーキャンセルも増加しており、取引所システムとしては十分なシステム拡張性とITコストの低減といった難しい課題に対応が必要な上に、Low latencyな取引システム、情報フィードの提供もおこなわなくてはならない環境となっています。

マーケットデータのLatencyを低下させ、優位性を獲得するためには金融機関にとって、内部、外部の様々な課題を解決しなければなりませんが、ターンキー的な解決法はなく、その時々の最新のテクノロジーを組み合わせて業界でトップのシステムを構築し、維持し続ける必要があります。


Internal processing の高度化

Linux / x86サーバーへの移行

マーケットデータシステムやトレーディングシステムは従来UNIX上で構築されていましたが、2002年あたりから多くのフロント・ミドルオフィスシステムはLinuxへの移行が進められました。Linuxへの移行にはオープンソースの活用やコスト削減もひとつの要因でしたが、金融機関にとっては処理スピードの向上に非常に大きな意味がありました。

マーケットデータソリューションとして代表的なThomson Reuters RMDSもSolaris上で稼動していたが、2003年にReuters、Red Hat、Intel、HPの4社でLinuxへのポーティングを実施しました。Intel、AMDのチップのパフォーマンスの改善を享受することができ、毎年大幅なパフォーマンスの向上がされています。

Market Data Latency Solutions

グリッドコンピューティングの活用

キャピタルマーケットでのグリッドコンピューティングの活用としては、大きく分けてデータグリッドと計算グリッドの2つがあります。

データグリッドは、フィードされたマーケットデータを保有し、高速にアルゴリズミック、ブラックボックストレーディングなどのエンジンやトレーダーに情報を提供します。従来インメモリーDBなどもこの用途に使われてきましたが、データグリッド化によりスケールアウトが可能になり、比較的大規模なデータにも対応することができるようになりました。また、金融機関によってはデータグリッド上にアプリケーションを取り込むことにより、3層のレイヤーをひとつのサーバーにまとめて処理をするなど新しいシステム構成を利用しているなど様々な使われ方がされています。

もうひとつのグリッドコンピューティングの使い方である計算グリッドは、大量のCPUによりリスク計算やプライシングをおこなうもので、研究機関や製造業でも以前から使用されてきました。金融分野での計算グリッドの使用上の特徴としては、プライシングなどをリアルタイムで行なう点などにあり、データグリッドと組み合わせて高速にデータの読み込みをおこなったり、Infinibandなどの高速なネットワークを利用したりなどLow latencyに対応した独自のシステム構成をとっています。すでに3万コアを超えるような大規模な計算グリッドを大陸をまたがったグローバルに展開している銀行もあり、計算グリッドシステムは成長を続けています。


サーバーへのIO(アイオー)アクセレータの適応

比較的大規模なデータを多くのユーザーが利用する場合はデータグリッドが適応しますが、1台のサーバー内で高速にデータを処理するためには、IOアクセレータの利用も考えられます。高速なデータ処理が期待されるアルゴリズミックなどのアプリケーションがインストールされたサーバーへ高速な半導体ストレージメザニンカードを差し込みことにより、数10〜数100 GBのブレードサーバー内の2次ディスクとして利用できます。価格も比較的安価で、データ処理がLatencyの低下の要因となっているサーバーへ容易に提供でき、アプリケーションの高速化に大きな効果があります。可用性に関しては別途考慮する必要もありますがメモリーに載らない大規模データの処理の改善が可能です。


リアルタイムLinuxの登場

Linuxの新機能としてリアルタイム機能をサポートした製品が各社からリリースされています。Novelは先行してSUSE Linux Enterprise Real Time (SLERT)を、Red Hatは昨年Red Hat Enterprise MRG を発表しており、マーケットデータ、トレーディングシステムへの適応の検討が行なわれています。 CPUおよびコアへのプロセス/スレッドの割り当てを完全にコントロールすることで、Low Latency処理を実現することができます。

HPでは早くからNYSE Technologies Wombat Data Fabric(WDF)やThomson Reuters RMDSでのマーケット・データ処理のベンチマークテストをリアルタイムLinux上でおこなっています。 プロセス/スレッドの割り当て制御に加え、OSのリアルタイム機能がLatencyを抑制するだけではなく、処理時間のぶれを大幅に抑えたり、1秒あたりの処理件数の向上などがベンチマーク結果から確認できます。リアルタイムOSを効果的に利用するためには、OSまわりのチューニングなどが必要で、導入には通常のOS以上の準備が必要となります。しかし、Low Latencyが重要な分野では、それを上回るメリットを期待できる場合が多く、またツール類も整備されつつあるため、実稼動システムへの適応へはこれから本格化するものと考えられます。


Internal networkの高度化

サーバーの高速化を行なっても各ノード間の転送スピードがあがらなければ全体のスループットの改善にはつながりません。このためにInfinibandのテクノロジーを利用する金融機関もあります。Voltaireが提供するInfiniBandは20ギガビット以上の大きな帯域のネットワークを提供し、2007年からNYSE Technologies WDF、Thomson Reuters RMDS、29Westのデータストリームプロセッシング製品に適応しています。 InfiniBandのテクノロジーは通常のネットワーク処理で必要なSocket Lib、TCP/IPなどの処理を省くRDMA(リモートダイレクトメモリアクセス)などにより、マルチキャスト処理でのマーケット・データの処理を高速に行なうことができます。ネットワークを構築する際の距離の制約などもありますが、光ケーブルによりこの問題を解消することもでき、Low latencyなシステム構築の有力な選択肢となっています。

HPではInfiniBandを利用したベンチマークも行なっています。米国ニューヨークにあるLow latencyのベンチマーク機関である STAC (SECURITIES TECHNOLOGY ANALYSYS CENTER) でThomson Reuters、Novell、Intel、Voltaire各社と行なったテストでは、RMDS v6において1GbEと比較して45〜48%のLatency低下が確認されています。

Voltaireを含めた数社からはすでに毎秒40ギガビットの転送能力を持つ新世代のInfiniBandが販売されています。EthernetもRDMAなどの技術を徐々に取り入れつつ、毎秒10ギガビット転送の製品が一般化し安価に入手できるようになってきています。


今後の発展

投資銀行・証券業界は厳しい環境におかれていますが、この状況下でも日々新しいシステムを追及しています。Low Latencyなシステムによりより多くのビジネスを実現すると同時に、リスク管理、流動性マネージメントの強化、さまざまなレポートなどへの対応もあわせて進めています。今後も金融機関がグローバルな市場をリードしていくなかで、グローバルな規制への対応、ガバナンスの確立も不可欠であり、管理面と運用面を融合したLow Latencyなシステムの追求はさらに進んでいくと考えられます。

日本ヒューレット・パッカード株式会社
金融営業統括本部 ビジネス企画部
三身 徳人

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