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2005年6月1日、第12回QTATフォーラム [半導体・液晶製造業IT研究会] が開催されました。今回はハイテク業界におけるSCMの戦略性に更に焦点を絞るために、過去12回を振り返り、業界におけるIT戦略の課題と方向性を確認、そして次のステップへの飛躍に向けての総轄をまとめました。 基調講演には、神戸大学大学院経営学研究科 松尾博文教授をお招きし、「経営戦略レベルで考えるハイテクSCM」と題して、総轄にふさわしい高い視点での基調講演をいただき、出席者を中心としたブレークアウトセッションではこれまで以上に高い討論が展開されました。 |
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神戸大学大学院経営学研究科 松尾博文教授
テキサス大学を経て、現在神戸大学大学院にて「オペレーション管理・サプライチェーンマネジメント」の教鞭をとられる松尾教授から、時代の変化、スピードの変化、ビジネス環境の変化と共に大きく変化してきているSCMと企業戦略、その評価法、リスク・コラボレーション、そして組織とビジネスモデルまで、幅広い視野での考察をご教授いただきました。
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SCMの定義と企業戦略との関係性を確認後、SCMの「プロセス」について今一度再定義をいただきました。 製品開発、調達、生産、流通、受発注情報、から販売終了後までに至る全てのビジネス・プロセスを、連携・可視化させるSCMは、経営のプロセスレベルの把握である。そして同時に、各企業で開発されたそれら複雑なビジネス・プロセスの連携は、企業自身のノウハウの集大成であり、他に模倣のできない差別化要因そのものであると唱える。すなわち、企業のプロセスの能力は、その企業の競争力、戦略性そのものであるということだといえる。これらの前提に基づいて、松尾教授からSCMの評価軸を次のようにご説明いただきました。 |
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- SCMの評価軸とケーバリティ
- 機動性、可変性
変化と多様性に対応する能力。何を作るか、幾つ作るかを司り、短期的な需給の変化への迅速な対応(Contingency planやサプライヤとの状況共有など)
- 改善能力(adaptability)
PDCAサイクル。改善能力は日本企業が世界に誇るケーパビリティであると指摘。
- 方向合わせ(alignment)
組織内・外の運用。責任の所在やリスク配分などを指す。
- 製版統合
需給の合致。販売チャネル、顧客管理、需要予測、受注情報管理を指す需要管理と、生産・流通・運用を指す供給管理、両方の視点が必要。
- 整合性と絞り込み
- 整合性
:顧客や商品、プロセスの整合性。
- 絞込み
:マーケット・セグメント、商品、技術などのプロセスを絞込。
事業が右肩上がりに成長している時代は、絞込みの必要はないが、不確実性時代において、常に変化する事業ポートフォリオと既存のキャパシティのアンバランスは非常に繊細であり、企業の命を左右すると言っても過言ではない。同氏はDELLモデルのバランスシートを取り上げ、在庫コストの削減により収益を上げている状況を説明。在庫コストは、メータの上がるタクシーと同じであり、DELLの絞込み戦略はこれを極限まで押さえている事例である。そして顧客セグメンテーションを研ぎ澄ますことにより、一定の顧客層を切り捨て、early
adaptorと呼ばれる層に絞り込んだ、マーケティングとSCMの連動を実現している。
- 在庫・キャパシティリスク
需要の不確実性はそのままリスク(工場の稼動率・在庫の引き取り責任)につながる。この課題の解決には広いSCネットワークのどこに自社を位置づけるかがキーであるという。上流から下流の中での責任範囲、すなわちリスク分散をどう捉えるかは、グローバルSCMにおいては命取りとなるため、半導体産業に代表される非常に複雑な工程を要するがデマンドの予測が難しい産業では、1社で需給の変動リスクを賄うことは難しく、最もagilityと戦略性を要する産業であると指摘されました。
- 協働
CPFR(協働計画・需要予測・補充活動)のプロセスモデルについて、バイヤーとセラーの協働関係の設立や、共同のビジネスプランの設定、販売、注文の予測などを、セブンイレブンジャパンの「焼き立てパン事業」を例にあげ、独自の立地条件やサプライヤマネジメントに基づいた、他に模倣できないビジネスプロセスの確立について解説いただきました。
- ビジネスモデルの帰属
昔と今のビジネスモデルの大きな違いに「情報化」が上げられる。情報化により出来た情報のプールはすなわちビジネスモデル上のHUBであるが、この情報が誰に(どのビジネスに)帰属するものなのかの再認識がIT戦略のキーといえる。ただ情報を集積するのでなく、誰の利益を代表し、誰に寄与する情報なのかを常に意識することが、情報活用の要となる。
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ビジネスプロセスの集大成であるSCMは、他に模倣できない各企業の競争力の源泉である。 すなわち、企業の戦略性そのものであるSCMを、旧来の手法で伝承していってはいけない。
上記の様々なSCMの切り口をご説明いただいた後、同氏は事業戦略と同様にSCMの定期的な見直しの必要性を指摘し、ご講演を締めくくられました。
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