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コンプライアンスを実現するには、先に述べたように、外部規制への適合や企業価値の向上のために策定された内部規定に基づいてビジネスプロセスや各種資産とその管理プロセスを整備することが必要である。コンプライアンスを実現する上でITの果たすべき役割は極めて重要である。
第一は、コンプライアンスを証明できる精度の高い情報を管理するための情報基盤を整備することである。これらの情報にはビジネス・トランザクションの都度発生する誰が、いつ、どのような作業を行ったかといった情報を含んでおり、トランザクショナルなデータに比べて膨大な量になることが予想される。この情報はまた内部規定に基づいて適切に管理されなければならない。
第二は、データの保護やサービス提供の継続といった企業が社会的責任を果たすために求められる情報基盤を整備することである。外部からの侵入や内部での不正アクセスによるデータの漏洩や改ざんから情報資産を守り、災害などの有事の際にも重要なサービスの提供を継続できる強固な基盤作りが求められる。
第三は、こうした情報資産や情報基盤を適切に運用するためのITのビジネスプロセスを先に述べたような内部規定に準じるように改定して実行することである。ITILに基づいてITのビジネスプロセスを整備することはコンプライアンスを実現する上でも非常に重要と考えている。また、ITのビジネスプロセスについても先に述べたような証明となる情報を保管・管理する必要があることはいうまでもない。
コンプライアンスを実現する上で重要なもう一つの課題は、外部規制や企業責任への期待が変化することを踏まえて、いかに俊敏な適応性を維持するかである。外部規制や社会からの企業への期待の変化も企業にとっての重要な変化である。そのため、ビジネスとITを同期させて変化を有効に活用するアダプティブ・エンタープライズ(変化適応型企業)を実現することは、コンプライアンスを実現する上でも非常に重要である。このアダプティブ・エンタープライズを実現する上で重要なことは、シンプル化、標準化、モジュール化、統合という4つの設計指針に基づいたエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)を策定・実行すること、アーキテクチャの確実な実装と変革のプログラムを遂行するためのメカニズムを提供するITガバナンスを確立することである。ビジネスプロセスを含めてエンタープライズ・アーキテクチャを通じて企業の構造を可視化しておけば、各種の内部規定を適用してコンプライアンスを実現することが容易になる。 |