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共有アプリケーション・サーバ・ユーティリティ事例

人事システム事例の中でも紹介しましたが、アプリケーションサーバを集約し、アプリケーションの共有ホスティング化にも取り組んでいます。社内では、この取り組みをShared Application Server Utility (以下略して SASU) と呼んでいます。この取り組みの背景には、下記のような課題がありました。

  • アプリケーションサーバのハードウェア、ソフトウェアに対する投資の増加
  • 各サーバあたりの低いリソース利用率 (CPU、ディスクなど)
  • 開発工数の増大とサービスインの長期化
  • 非効率な運用管理、監視の体制

たとえば、各事業部は新たなハードウェア、ソフトウェアのサポートに多大な投資を続けており、将来的にも増え続けると予測されました。また、平均的なサーバのCPU使用率は20%以下であり、資産活用が十分ではありませんでした。アプリケーションチームとインフラチームの役割や責任も明確ではなかったので、新しい開発する度にアプリケーションチームがサーバを調達、構成、設定してインフラ構築を行っていたため、アプリケーションの開発着手までに約5ヶ月の時間がかかりビジネスの俊敏性に問題が出ていたのです。さらに、できあがったシステムの運用管理や監視には、標準的なプロセスが確立されていなかったため、冗長性や無駄も多くサービスレベルの低下が懸念されました。

これらの問題を解決するために、これまでのように個々のアプリケーション毎にサーバなどを準備してインフラを構築するのではなく、図3に示すようにITリソースを集約・統合し仮想化された共通基盤の構築を行いました。そして、複数のアプリケーションサーバのインスタンスを、この基盤上に集約しながら、アプリケーションに対してホスティング環境を提供することにしたのです。同時に、アプリケーション開発チームと、インフラチームとを分けて、役割を明確にしました。インフラチームは、可用性やトランザクション量など複数のサービスレベルを満たす環境を提供し、アプリケーション開発チームとはSLAを結んでいます。これには、定期的なインフラのアップデート計画として、たとえば、アプリケーションサーバやOSなどのバージョンアップは1年に一度行うこと、そしてその通知は一年前に事前通知するなどといったことや、お互いが従うべき標準やセキュリティポリシーなどが含まれています。

図3:「共有アプリケーション・サーバ・ユーティリティ(SASU)」
図3:「共有アプリケーション・サーバ・ユーティリティ(SASU)」

SASUは、「個別サーバ型」から「共有・共通基盤」への進化を促し、集中管理された環境を推奨しているのです。SASUのアーキテクチャの主な目標は、共通基盤であってもアプリケーションごとに分離された環境を提供することです。そのために幾つかのレイヤから構成されます。 図4はアーキテクチャの概略と各レイヤで提供される機能を示していますが、この例では、これまで3台のサーバで提供されていたアプリケーション環境が、1台のサーバの1つのOS上に集約、スタッキングされています。

図4:「SASUのレイヤとアプリケーションの分離」
図4:「SASUのレイヤとアプリケーションの分離」

J2EE環境のレイヤ

アプリケーション環境の分離、クラスタリング、セッション管理などのJ2EEプラットフォームを提供します。環境が分離されているので、他に影響を与えずにアプリケーションの展開、開始、停止を行うことが可能です。

監視/レポート・レイヤ

HP Software 製品群をベースにした監視やレポート機能が展開されています。これにより、アプリケーション別の使用履歴、サービス・レベル目標値(SLO)の違反、警告や各種イベント、アプリケーション応答などがレポートされます。

管理/制御レイヤ

アプリケーションで共有するCPUの分離や割り当てを行い、HPが提供する仮想化の技術であるVSE (Virtual Server Environment)を利用しています。これには、CPUの制御と割り当てを行うWork Load Manager(WLM)とProcess Resource Manager(PRM)が含まれます。PRMはCPUリソースを%単位でアプリケーションに割り当てることが可能なリソースパーティショニング技術であり、WLMは、その割り当て率を予め定義されたサービスレベル目標 (SLO)を満たすように自動変更することができるワークロード管理技術です。これの仮想化技術を活用することでアプリケーションの負荷に応じて、ダイナミックにプール、共有化されたCPUリソースを割り当てることが可能になるのです。

物理ディスク・レイヤ

アプリケーションごとの専用論理ボリュームを持つディスク領域を割り当てます。このことにより、特定のアプリケーションのディスク領域が完全に他のディスク領域から分離されるのです。アプリケーションに固有のファイルやログはすべてこの領域に格納されます。

容量の管理

共通基盤におけるキャパシティ・プランニングは、アプリケーションの設計や種類、ユーザ数、外部データ接続などの要素がリソース要求に多大な影響を及ぼします。HPでは、仮想化環境におけるキャパシティ・プランニングについて中央研究所の先進的な研究成果なども取り入れながら、サイジングの最適化を行っています。

パイロットプロジェクト

図5に9つのアプリケーションが3台のサーバで構成される共通基盤上にホスティングされるSASUの実装概念図を示していますが、パイロットプロジェクトでは、約100個のアプリケーションごとに個別に用意された100台のサーバを5台のハイエンドサーバに集約した共通基盤環境を構築し、そこに100個のアプリケーションがホスティングされました。

図5:「SASUの」実装概念図
図5:「SASUの」実装概念図

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